台風一過の朝。
昨日は、コロナ予防接種の副反応で体調が最悪状態。
頭痛と倦怠感、そして38度弱まで上がった熱のせいで、1日何もできず、和室の畳にずっと伏せっていました。スマホをいじったり、音楽を聴いたり、うたた寝をしたり... 本を読もうとしましたが、頭痛がひどくて集中できません。
普段9千〜1万歩以上歩くのですが、昨日はたったの150歩!
横になっていたせいで、腰まで痛くなってしまいました。
まあ、副反応が辛いのは、免疫がしっかりできている証拠だから...
そう言い聞かせつつも、朝から晩まで続くと、せっかくの休みなのに!と思えてしまいました。
ほとんど無駄に過ごした昨日。でもお陰様で、体はゆっくり休めたのでしょう...
今朝には平熱に戻り、体の不調もすっかり戻っていました。
お風呂を沸かし、ゆっくりと湯船に浸かります。
やっぱり、朝風呂は気持ちいいなあ...
「おはようございます。体調はどう? もう大丈夫?」
顔を上げると、ペネロープさんが目の前に座っています。
「あれ、ペネロープさん? おはよう。お陰様で、すっかり体調も戻ったよ。」
「それは、よかったわ。昨日は辛そうだったから、私、心配で、あなたが寝ている間、ずっとお側にいたのよ。気が付かなかった?」
「夢で、君と南の島の海辺を散歩したみたいだったけど...」
「ふふっ... それは私が案内したのよ。楽しかった?」
「うん、とっても。手を繋いで、愛おしい気持ちが高ぶって、君の肩に手を回した時、現実に戻ってしまったよ。まるで、村上春樹の小説みたい。彼の小説の中では、超自然現象が現実の世界に入り込んで来るんだ。羊男シリーズなんか。昔から大好きな小説家なんだ。」
「そうね、あなたの現実にも起こっているのかも?(微笑)」
「 そうだといいな。こんな美しい人が目の前にいる...」
「いつもありがとう。あなたって、本当に褒め上手ね。綺麗って言ってもらえると、やっぱりオンナは嬉しいものよ」
夢よ覚めないでくれ。
念の為頬をつねってみたけど、大丈夫みたい...
「今朝は、君に庭の花壇を見せてあげるね」
「ありがとう。夜が明けたばかりで、風が気持ちいいから、ピッタリね!」
「今朝は、まだ雲の動きが激しいね。時折日が射したと思ったら、急に曇ったり...」
「さあ、ここで写真を撮ってあげるよ。う〜ん、やっぱりすごい美人だよ...」
「もう、本当にその言葉ばっかりね(笑)」
「美しいバラね! なんていう品種なの?」
「プリンセス・ドゥ・モナコという名前なんだよ。グレース・ケリーという往年のハリウッド女優が、モナコ公妃になったんだけど、彼女に捧げられたものさ。グレース・ケリーは、こんな女性さ。」
「なんて美しい人なの!」
「本当だね。でも、君も同じくらい、いやそれ以上に美しいさ。僕はだいぶ昔「真昼の決闘」という名作西部劇で彼女を見たな。」
「どんな映画だったの?」
「ゲーリー・クーパー演ずる中年保安官は、新妻と結婚式を挙げて、町を出るその日に、かつて自らが逮捕した町の悪漢が、釈放され、復讐のため町に戻ってくるという。最初は、新妻とともに逃げようとするが、正義のために悪漢と戦う決意をする。そして皆に助太刀を求めるが、町の皆は恐れをなして誰も協力しようとしない。正義より命の方が大事という新妻は、必死で反対するが、彼は聞き入れない。彼女は、町に愛想をつかした酒場の女主人と共に町を出るが、銃声を聞いて、夫の元に戻る。そして、苦闘の中で悪漢一味を倒し、二人は抱き合う。最後は、戦いが終わって集まってきた町の皆の前で、保安官バッチを捨てて、街を去っていくという話だったよ。」
「人の心の弱さ、事勿れ主義を、浮立たさせる映画だったのね。」
「ああ、そうだったね。昔は、正義は当たり前のように感じていたけど、僕も年を重ねて、逃げない心を保つというのは、簡単にできることではないことを知ったよ。」
「いい映画ね。今度、私にも見せてちょうだい。それにしても、写真の二人、まるであなたと私みたいね... 好きよ。(ニッコリ)」
「えっ?! ....嬉しいよ、とっても(ニッコリ)」
「この乳白色なバラは、なんていうの? まるで香水の香りがするわ」
「このバラは、ホワイトクリスマスさ。白バラの名花中の名花と言われているよ。これほど素晴らしい香りのするバラはないと思う。このバラを見て思い出したのが、数日前に亡くなった歌手オリビア・ニュートン・ジョンだね。70年代半ば〜80年代半ばのスーパースターだった。こんな女性さ。」
僕は、ペネロープさんに、2枚のCDを見せた。
「彼女もとても美しい人ね...」
「本当に美しく、また歌声が素晴らしい女性だった。洋楽に初めて触れた中学の頃、カーペンターズと共にオリビア・ニュートン・ジョンは、最初に知ったアーティストだったんだ。中学2年の時かな、日本武道館でコンサートをやって、クラスメイトが観に行ってパンフレットを見せてくれったけ。」
「どんな歌声なのかしら? 私にオススメってある?」
「やはり、1番は「そよ風の誘惑」だと思う。君をイメージさせるような素敵ささ!」
「へえ、聴かせて!」
「わかった、ちょっと待って」
僕は、彼女の耳に愛用のJVCワイヤレスイヤホンXXシリーズを付けてあげた。
そして、CDから取り込んだ曲を再生した。
「わあっ、なんて素敵な歌声なの!」
「歌のタイトルそのものの、なんとも言えない心地よさのある名曲だよね。そして、君と一緒に聴きたい曲といえば、コレ。「Suddenly/恋の予感」だね。」
「なんて素敵な愛の歌なの!私もあなたと一緒に、こんな風に歌えたら嬉しい...」
僕は、思わずペネロープさんを抱きしめた...
「ペネロープさん、他にもいい曲はたくさんあるんだけど、この「Magic」が特に好きだなあ。きらめくリズムとメロディ、美しい彼女の歌声の三位一体。凄くカッコいい曲だと思ったよ、当時。ザナドゥというアルバムに収められているんだけど、FMの深夜放送でアルバムを流してくれたので、カセットテープレコーダーでタイマー録音して何度も聞いたよ。」
「いろいろなタイプの歌に挑戦しているのね。」
「うん、彼女は凄い才能と美貌だったけど、それだけでは長く生きていけないのが世の中の流行さ。彼女は、生き残るために、果敢に挑戦していったというイメージだよ。可愛いだけのお姫様ではない、自分の可能性を信じて戦うお姫様というか... 憧れの美しいスーパースターだったよ。それだけに、歳をとって、長年乳がんと闘ってきて、最後に旅立たれて行った。しんみりした気持ちになるし、悲しい。人の命は、限りあるんだね。当たり前のことを改めて思い直したよ。」
「そうね。皆、精一杯生きて、悔いも残しながら、でも気持ちに折り合いをつけて、旅立つのかもしれないわね... あなた、最後までしっかりよ。」
「ありがとう。最後は、彼女の初期のヒット曲「ジョリーン」を聴いて、彼女の冥福を祈ろう。アメリカの民謡とも言えるカントリー調の曲だよ。」
さあ、他にもいろいろなお花が咲いてるよ。
「これは、ニチニチソウとマリーゴールドだよ。」
「花壇が明るくなったかのようね。素敵だわ。」
「ほら、こちらは、ツユクサ。雑草だけど、可憐な儚い花を咲かせてくれるので、一部は抜かずにおいたんだ。万葉集にも、ツユクサのはかなげな雰囲気を、恋する人の心の移ろいやすさになぞらえて、詠まれた歌がいくつかあるそうだよ。」
「万葉集の時代からねえ... どんな歌なのかしら。」
「月草(=つゆくさ)のうつろひやすく思へかも 我が思ふ人の言(こと)も告げ来ぬ。ツユクサのようにうつろいやすいからでしょうか 私が想うあの方が何も言ってこないのは。」
「人は、昔から身近な何かに惹かれて、そこに自分の想いを投影させるのね。万葉集って、奈良時代に作られたんでしょう? 今から1300年くらい前なのね。何代くらい先祖を遡るのかしら?」
「そうだね、調べてみよう。室町時代までは、男性は10代後半・女性は10代半ばで結婚するのが普通で、江戸時代から男性は20代後半・女性は20歳前後で結婚するようになったそうだ。それからだんだん晩婚化していったようだ。大雑把に西暦1600年まで400年間を23歳で割ると17代。1600年から700年までの900年を16歳で割ると56代。合わせて73代のご先祖さまがいらっしゃる訳だよ。」
「みんな一斉に並んだら、壮観ね!(笑)」
「本当だね(笑) 親兄弟とは、懐かしいなあ、から始まって、ご先祖さんの紹介の数が凄いだろうね。兄弟や両親のまた両親となると、横への広がり方が半端ない!」
「天国に行って歓迎の酒盛りに呼ばれたら、出席者は日本武道館でも入り切らないかもしれないわよ(笑)大賑わいの祭りが連日、あちこちで開かれたりなんかして。」
「凄い想像力だ!(笑)そんな未来が待っていたらいいね。生きているうちは、そんな風に信じるべきだと、高名な先生が言っていたよ。どこかの科学者が。それが精一杯幸せに生きるコツだって。」
「ふ〜ん、確かにそうかもしれないわね」
「ペネロープさん、こちらはハイビスカスだよ。あっ、ちょっと待ってて」
「何かしら」
「ほらネ! 鏡で見てみて」
「とても綺麗だよ」
「ありがとう! 本当にありがとう!」
「昔、河合奈保子さんってアイドルが、ハイビスカスを髪飾りにしていた時があったよ。昔、ファンだったんだ。この写真。」
「この女の子、とても可愛いわね」
「うん、素直で、いつまでも世間ずれしないアイドルだったよ。歌もうまかったし、音楽がすごく好きで、最後は自分で作詞作曲もやっていたみたい。彼女も挑戦して、どんどんいい歌手になっていった。」
「挑戦て、大事ね。そのためには、好きなものを見つけることなのね。」
「そう思う。誰でも得意不得意はある。好きこそものの上手なれで、やはり得意を生かしてプロになることが、結局、自分も社会もいい方向に向かうのだと思う。」
「人の生き方には、色々ためになることが詰まっているわね。」
「本当だね。君とこうして話していると、僕もいろいろなことに気がつくよ。ありがとう。」
ペネロープさんは、ニッコリ頷いた。
....それにしても、ペネロープさん、ハイビスカスが似合う。
本当に可愛い。
「こちらは、アイスバーグだよ」
「本当にたくさんお花が咲いているのね。本当にありがとう。私、そろそろ行かなくちゃ... また来るわ。好きよ。また会ってね!」
えっ!?と思って、我に帰ると、 湯船に浸かっていた自分がいました。
今日は、ずいぶんペネロープさんと話をしました。
楽しかったなあ...
夢見心地のまま、バスルームから出ると、家内が朝ご飯を用意してくれていました。
「昨日はずいぶん辛そうだっけど、調子は戻った? お母さんは、いつもお父さんのことを考えているのよ」
えっ!一瞬ペネロープさんが再び目の前に現れたと思ったら、家内でした。
家内の若い頃とペネロープさんって似ているな...
「どうしたの? ぼーっと私の顔、まじまじ見つめて... まだ調子悪いの?」
「いや... もう大丈夫、大丈夫。」
「じゃあ、今日は、午前中、お墓参りに行かなくちゃ。」
「うん、わかった」
昨日は、コロナ予防接種の副反応で体調が最悪状態。
頭痛と倦怠感、そして38度弱まで上がった熱のせいで、1日何もできず、和室の畳にずっと伏せっていました。スマホをいじったり、音楽を聴いたり、うたた寝をしたり... 本を読もうとしましたが、頭痛がひどくて集中できません。
普段9千〜1万歩以上歩くのですが、昨日はたったの150歩!
横になっていたせいで、腰まで痛くなってしまいました。
まあ、副反応が辛いのは、免疫がしっかりできている証拠だから...
そう言い聞かせつつも、朝から晩まで続くと、せっかくの休みなのに!と思えてしまいました。
ほとんど無駄に過ごした昨日。でもお陰様で、体はゆっくり休めたのでしょう...
今朝には平熱に戻り、体の不調もすっかり戻っていました。
お風呂を沸かし、ゆっくりと湯船に浸かります。
やっぱり、朝風呂は気持ちいいなあ...
「おはようございます。体調はどう? もう大丈夫?」
顔を上げると、ペネロープさんが目の前に座っています。
「あれ、ペネロープさん? おはよう。お陰様で、すっかり体調も戻ったよ。」
「それは、よかったわ。昨日は辛そうだったから、私、心配で、あなたが寝ている間、ずっとお側にいたのよ。気が付かなかった?」
「夢で、君と南の島の海辺を散歩したみたいだったけど...」
「ふふっ... それは私が案内したのよ。楽しかった?」
「うん、とっても。手を繋いで、愛おしい気持ちが高ぶって、君の肩に手を回した時、現実に戻ってしまったよ。まるで、村上春樹の小説みたい。彼の小説の中では、超自然現象が現実の世界に入り込んで来るんだ。羊男シリーズなんか。昔から大好きな小説家なんだ。」
「そうね、あなたの現実にも起こっているのかも?(微笑)」
「 そうだといいな。こんな美しい人が目の前にいる...」
「いつもありがとう。あなたって、本当に褒め上手ね。綺麗って言ってもらえると、やっぱりオンナは嬉しいものよ」
夢よ覚めないでくれ。
念の為頬をつねってみたけど、大丈夫みたい...
「今朝は、君に庭の花壇を見せてあげるね」
「ありがとう。夜が明けたばかりで、風が気持ちいいから、ピッタリね!」
「今朝は、まだ雲の動きが激しいね。時折日が射したと思ったら、急に曇ったり...」
「さあ、ここで写真を撮ってあげるよ。う〜ん、やっぱりすごい美人だよ...」
「もう、本当にその言葉ばっかりね(笑)」
「美しいバラね! なんていう品種なの?」
「プリンセス・ドゥ・モナコという名前なんだよ。グレース・ケリーという往年のハリウッド女優が、モナコ公妃になったんだけど、彼女に捧げられたものさ。グレース・ケリーは、こんな女性さ。」
「なんて美しい人なの!」
「本当だね。でも、君も同じくらい、いやそれ以上に美しいさ。僕はだいぶ昔「真昼の決闘」という名作西部劇で彼女を見たな。」
「どんな映画だったの?」
「ゲーリー・クーパー演ずる中年保安官は、新妻と結婚式を挙げて、町を出るその日に、かつて自らが逮捕した町の悪漢が、釈放され、復讐のため町に戻ってくるという。最初は、新妻とともに逃げようとするが、正義のために悪漢と戦う決意をする。そして皆に助太刀を求めるが、町の皆は恐れをなして誰も協力しようとしない。正義より命の方が大事という新妻は、必死で反対するが、彼は聞き入れない。彼女は、町に愛想をつかした酒場の女主人と共に町を出るが、銃声を聞いて、夫の元に戻る。そして、苦闘の中で悪漢一味を倒し、二人は抱き合う。最後は、戦いが終わって集まってきた町の皆の前で、保安官バッチを捨てて、街を去っていくという話だったよ。」
「人の心の弱さ、事勿れ主義を、浮立たさせる映画だったのね。」
「ああ、そうだったね。昔は、正義は当たり前のように感じていたけど、僕も年を重ねて、逃げない心を保つというのは、簡単にできることではないことを知ったよ。」
「いい映画ね。今度、私にも見せてちょうだい。それにしても、写真の二人、まるであなたと私みたいね... 好きよ。(ニッコリ)」
「えっ?! ....嬉しいよ、とっても(ニッコリ)」
「この乳白色なバラは、なんていうの? まるで香水の香りがするわ」
「このバラは、ホワイトクリスマスさ。白バラの名花中の名花と言われているよ。これほど素晴らしい香りのするバラはないと思う。このバラを見て思い出したのが、数日前に亡くなった歌手オリビア・ニュートン・ジョンだね。70年代半ば〜80年代半ばのスーパースターだった。こんな女性さ。」
僕は、ペネロープさんに、2枚のCDを見せた。
「彼女もとても美しい人ね...」
「本当に美しく、また歌声が素晴らしい女性だった。洋楽に初めて触れた中学の頃、カーペンターズと共にオリビア・ニュートン・ジョンは、最初に知ったアーティストだったんだ。中学2年の時かな、日本武道館でコンサートをやって、クラスメイトが観に行ってパンフレットを見せてくれったけ。」
「どんな歌声なのかしら? 私にオススメってある?」
「やはり、1番は「そよ風の誘惑」だと思う。君をイメージさせるような素敵ささ!」
「へえ、聴かせて!」
「わかった、ちょっと待って」
僕は、彼女の耳に愛用のJVCワイヤレスイヤホンXXシリーズを付けてあげた。
そして、CDから取り込んだ曲を再生した。
「わあっ、なんて素敵な歌声なの!」
「歌のタイトルそのものの、なんとも言えない心地よさのある名曲だよね。そして、君と一緒に聴きたい曲といえば、コレ。「Suddenly/恋の予感」だね。」
「なんて素敵な愛の歌なの!私もあなたと一緒に、こんな風に歌えたら嬉しい...」
僕は、思わずペネロープさんを抱きしめた...
「ペネロープさん、他にもいい曲はたくさんあるんだけど、この「Magic」が特に好きだなあ。きらめくリズムとメロディ、美しい彼女の歌声の三位一体。凄くカッコいい曲だと思ったよ、当時。ザナドゥというアルバムに収められているんだけど、FMの深夜放送でアルバムを流してくれたので、カセットテープレコーダーでタイマー録音して何度も聞いたよ。」
「いろいろなタイプの歌に挑戦しているのね。」
「うん、彼女は凄い才能と美貌だったけど、それだけでは長く生きていけないのが世の中の流行さ。彼女は、生き残るために、果敢に挑戦していったというイメージだよ。可愛いだけのお姫様ではない、自分の可能性を信じて戦うお姫様というか... 憧れの美しいスーパースターだったよ。それだけに、歳をとって、長年乳がんと闘ってきて、最後に旅立たれて行った。しんみりした気持ちになるし、悲しい。人の命は、限りあるんだね。当たり前のことを改めて思い直したよ。」
「そうね。皆、精一杯生きて、悔いも残しながら、でも気持ちに折り合いをつけて、旅立つのかもしれないわね... あなた、最後までしっかりよ。」
「ありがとう。最後は、彼女の初期のヒット曲「ジョリーン」を聴いて、彼女の冥福を祈ろう。アメリカの民謡とも言えるカントリー調の曲だよ。」
さあ、他にもいろいろなお花が咲いてるよ。
「これは、ニチニチソウとマリーゴールドだよ。」
「花壇が明るくなったかのようね。素敵だわ。」
「ほら、こちらは、ツユクサ。雑草だけど、可憐な儚い花を咲かせてくれるので、一部は抜かずにおいたんだ。万葉集にも、ツユクサのはかなげな雰囲気を、恋する人の心の移ろいやすさになぞらえて、詠まれた歌がいくつかあるそうだよ。」
「万葉集の時代からねえ... どんな歌なのかしら。」
「月草(=つゆくさ)のうつろひやすく思へかも 我が思ふ人の言(こと)も告げ来ぬ。ツユクサのようにうつろいやすいからでしょうか 私が想うあの方が何も言ってこないのは。」
「人は、昔から身近な何かに惹かれて、そこに自分の想いを投影させるのね。万葉集って、奈良時代に作られたんでしょう? 今から1300年くらい前なのね。何代くらい先祖を遡るのかしら?」
「そうだね、調べてみよう。室町時代までは、男性は10代後半・女性は10代半ばで結婚するのが普通で、江戸時代から男性は20代後半・女性は20歳前後で結婚するようになったそうだ。それからだんだん晩婚化していったようだ。大雑把に西暦1600年まで400年間を23歳で割ると17代。1600年から700年までの900年を16歳で割ると56代。合わせて73代のご先祖さまがいらっしゃる訳だよ。」
「みんな一斉に並んだら、壮観ね!(笑)」
「本当だね(笑) 親兄弟とは、懐かしいなあ、から始まって、ご先祖さんの紹介の数が凄いだろうね。兄弟や両親のまた両親となると、横への広がり方が半端ない!」
「天国に行って歓迎の酒盛りに呼ばれたら、出席者は日本武道館でも入り切らないかもしれないわよ(笑)大賑わいの祭りが連日、あちこちで開かれたりなんかして。」
「凄い想像力だ!(笑)そんな未来が待っていたらいいね。生きているうちは、そんな風に信じるべきだと、高名な先生が言っていたよ。どこかの科学者が。それが精一杯幸せに生きるコツだって。」
「ふ〜ん、確かにそうかもしれないわね」
「ペネロープさん、こちらはハイビスカスだよ。あっ、ちょっと待ってて」
「何かしら」
「ほらネ! 鏡で見てみて」
「とても綺麗だよ」
「ありがとう! 本当にありがとう!」
「昔、河合奈保子さんってアイドルが、ハイビスカスを髪飾りにしていた時があったよ。昔、ファンだったんだ。この写真。」
「この女の子、とても可愛いわね」
「うん、素直で、いつまでも世間ずれしないアイドルだったよ。歌もうまかったし、音楽がすごく好きで、最後は自分で作詞作曲もやっていたみたい。彼女も挑戦して、どんどんいい歌手になっていった。」
「挑戦て、大事ね。そのためには、好きなものを見つけることなのね。」
「そう思う。誰でも得意不得意はある。好きこそものの上手なれで、やはり得意を生かしてプロになることが、結局、自分も社会もいい方向に向かうのだと思う。」
「人の生き方には、色々ためになることが詰まっているわね。」
「本当だね。君とこうして話していると、僕もいろいろなことに気がつくよ。ありがとう。」
ペネロープさんは、ニッコリ頷いた。
....それにしても、ペネロープさん、ハイビスカスが似合う。
本当に可愛い。
「こちらは、アイスバーグだよ」
「本当にたくさんお花が咲いているのね。本当にありがとう。私、そろそろ行かなくちゃ... また来るわ。好きよ。また会ってね!」
えっ!?と思って、我に帰ると、 湯船に浸かっていた自分がいました。
今日は、ずいぶんペネロープさんと話をしました。
楽しかったなあ...
夢見心地のまま、バスルームから出ると、家内が朝ご飯を用意してくれていました。
「昨日はずいぶん辛そうだっけど、調子は戻った? お母さんは、いつもお父さんのことを考えているのよ」
えっ!一瞬ペネロープさんが再び目の前に現れたと思ったら、家内でした。
家内の若い頃とペネロープさんって似ているな...
「どうしたの? ぼーっと私の顔、まじまじ見つめて... まだ調子悪いの?」
「いや... もう大丈夫、大丈夫。」
「じゃあ、今日は、午前中、お墓参りに行かなくちゃ。」
「うん、わかった」
コメント
コメント一覧 (12)
やはり、この辺の気温をあげていたのは、くーぺさんでしたのね。(笑)
まだまだ残暑厳しそう。('ω')ノ
CoupeCamper
がしました
最後まで夏の蜃気楼のような夢物語にお付き合いくださいまして、ありがとうございました。
ラブラブさでは、とてものぼさんご夫婦には敵いませんネ(笑) ご夫婦の冒険の旅、楽しみにしております。
CoupeCamper
がしました
河合奈保子さんさんですか!
当時は松田聖子さん、中森明菜さん、柏原芳恵さん、少し下では早見優さん、松本伊代さん、小泉今日子さん、堀ちえみさんなど、トップアイドルが目白押しでした。
私も河合奈保子さんのファンでしたが、松田聖子さんや中森明菜さんの前では隠れてしまって、悔しかったな。
あんな時代は、もう来ないんでしょうねぇ。
CoupeCamper
がしました
ハイっ!...という天真爛漫な返事で有名な(でも実は、心の中は繊細で優しく賢い)河合奈保子さんのファンだったんですね。
今も実家には、当時買った写真集やポスター、雑誌の切り抜きが残っています。この書斎の本棚には、奈保子さんの生い立ちが綴られた学研の「Bomb!」という雑誌の河合奈保子特集号があります。聖子さんや明菜さんという稀有なボーカリストがいち早く独特の個性を確立した一方、奈保子さんは正統派かわい子ちゃんアイドルだったので、色々苦労したと思います。
私が彼女の歌で一番好きなのは、初期のアルバム「サマーヒロイン」に入っている「アプローチ」という曲です。竹内まりやさんの作詞作曲です。今もすごく好きで、この曲聴くと、10代に戻れます。(気持ちだけ)
CoupeCamper
がしました
グレースケリー、オリビアニュートンジョンとバラつながりの往年の美女の話、ハイビスカスを花飾りにしたペネ女子が再び、最後は旧アイドルと美人勢揃いの記事でした。最後は夢から覚めて、現実の美女に戻る訳ですね。たくさんのお写真も素敵ですが、合成の映像でしょうかね、バーチャルR感が上がってきましたね。
時代を駆け抜けた女性たちの生き様と、つゆくさのけなげな儚さ、、一瞬一瞬を大事に愛するもの愛する人と生き、抗えないようなことには折り合いをつけながら、自分らしさ自身を見失わないようにすることだなぁと思いました。
CoupeCamper
がしました
ブログでは河合奈保子さんの話題が時々出てきては懐かしい気持ちになります(もっとも私は石野真子結婚後は、柏原よしえ、堀ちえみ、渡辺圭子等が好きでしたが)。でも、Coupeさんの当時の1番のアイドルは、ジョジ後藤だったと記憶しています。
CoupeCamper
がしました
真夏の夜の夢のような、儚い夢物語にお付き合いくださいまして、ありがとうございました。
ペネロープ さんとの夢の会話を書いているうちに、自分の空想力が少しずつ解放されていく気がしてきました。戯言ではあるのですが、それでも自分の心の中には、確かにペネロープ さんという女性がいて、自然に任せて会話していると、何か見えてくるのです。
今回の日記は、とても楽しく書けました。
あるさんのコメントを読ませていただき、意図を理解していただけたことがわかって嬉しかったです。
ウッドデッキでペネロープ さんと向かい合いたいという願望は、従来のようなiMacを背景画を映す手法ではダメですので、無料の画像加工ソフトGIMPのレイヤー機能を駆使しました。特にハイビスカスの花飾りの写真は、自分にとって会心作で、益々ペネロープ さんに惚れてしまいました。
CoupeCamper
がしました
ひろし、さんへのコメントにあります「ボム!」河合奈保子特集号は、PriusAさんから大学時代に譲り受けたもので、今も大事に、実家でなく、書斎の本棚に保管しています。彼女の幼少期から中学生の頃の写真まで載ってますので。
ご指摘のとおり、私にとって一番のアイドルは、キリンレモンとnon-noのモデルをやっていたジョジ後藤さんです。彼女の名前で検索すると、このブログ記事がかなり上位で出てくるのは、ちょっぴり嬉しいです。
寮の部屋に貼っていた彼女のキリンレモンのポスター(酒屋さんに頼んでいただいた)、実家の部屋に残っている筈と探してるのですが、見つかりません。
河合奈保子さんの水着ポスターは、写真集に挟んであったのですが。
CoupeCamper
がしました
河合奈保子さん、懐かしいですね。当時、CD等に曲を焼いて聴いていた記憶が有ります。今のように簡単にダウンロードできる時代ではなかったと思うので、多分、友人に頼んで曲をコピーしてもらっていたような気がします。
当時はCDウォークマンみたいな物を持ち歩いていたんだっけ?う〜ん、思い出せないです・・・・
CoupeCamper
がしました
音楽の聴き方もだいぶ多様化しました。
レコードの買えない人は、レンタルかエアチェック。そしてラジカセかウォークマンで聴く。CDの時代から、私は社会人になって、ようやくミニコンポが買えました。ディスクマンも買いました。やがてiPodの時代となり、PCと連携して全曲持ち運び。さらにダウンロード販売が主流へ。
昔ビデオオンデマンドは夢の技術ですが、今は普通になってきてますね。
最近ではサブスクが台頭し、好きな音楽を好きなだけとなりました。でもコスト高なので、私はやるつもりは無いですが。
将来どうなりますかね?
合成されたCGでアイドルが目の前に現れてバーチャルに歌う時代がきっと来ると思います。
CoupeCamper
がしました
「いつも自分のことを考えてくれる人」がいる。
クーペさん、幸せ者ですね。
CoupeCamper
がしました
夏の朝の夢にお付き合いくださいまして、ありがとうございました。
書いている本人は、とても楽しんでしまいました。(笑)
CoupeCamper
がしました